たからウケる。モダン初の地方公演である。公演回数はわずか一回。 キャパ七百人以上の大きなホールでの上演。地元の方達が観光バス を連ねて観に来るという、なんだかどういうテンションになってい いのかよくわからない企画だった。しかも一週間くらい前から立派 な施設で稽古をさせてくれるという。寝泊まりは津村の実家。ご飯 は津村の母君はじめ地元の方達が作ってくださるという。いよいよ どういう気持ちになればいいのだという公演である。 演目は旗揚げ公演「モダンスイマー」を書き直したものだった。 人生初の北海道。何を隠そう僕は人生初の飛行機であった。 もう、とにかく楽しかった。例えば青春時代なんていう恥ずかしい 言葉をどこかに当てはめなければならないなら、間違いなくこの時 期だ。 想像してほしい。北海道の雄大な景色。登別は雪が全然残っている。 白樺の木が生えており、寒いが、室内はどこにいっても暖かい。ま さに北海道の趣きだ。津村のご実家には焼き物をする広い離れがあ り、ご飯はそこで食べる。夜は雑魚寝。母君は底抜けに明るく、地 元のお母さん方がご飯をそこで振る舞ってくれる。朝昼晩、北海道 の幸が毎食並ぶ。本当にとんでもないもてなしだった。蟹、刺身、 肉、野菜は大きい。稽古が終わると毎晩酒盛りだ。近所の方達が毎 晩訪れてくれる。皆良く笑う。楽しかった。同じ雪国でも僕がいた 場所とはまるで違っていた。僕は少なからず衝撃を受けていた。ま さにカルチャーショックだ。土地というものはこうも違いがあるの
第十話「青春時代と呼ぶならば」蓬莱竜太