稽古終わりの飲み屋で全員で飲んでいたときのことである。
タイトルの「モダンスイマー」だけでは宣伝がしにくいという話に
なっていた。当初は一度きりの公演なわけだから、チラシにタイト
ルだけ載せればいいんじゃないかと言っていたのだが、どうしても
それだけだと「どういう企画?」と尋ねられたときに据わりが悪い
というか、集団名がないと説明のとっかかりが無さ過ぎて逆に困ら
ないか、という話になった。かと言って西條企画っていうのもちょ
いと安直過ぎやしないか、少し字づらも怖くないか、じゃあどうす
るか、今付けようぜというノリになった。どうせ一回限りの企画な
ので熟考する必要もない、その無責任さが心地よい。
女優の誰かが犬とか猫とか好きだから「『犬猫』が可愛いと思い
ます」とか、それなら「『犬猫熱帯魚』の方がよくない?」とか言
っていた。そっちの方がいいという「いい」の基準は何なのかは不
明のまま「あ、いいね」「いや、イマイチだね」などと話している。
とにかく次はないのだから重圧もない。
「何とかテント、みたいなやつは?」
出ました本格系。劇団黒テント、紅テント、紫テントを真似てみる
案。だけどいい色残ってなくないか?では色をやめて、尚かつスケ
ール感を出して、
「東京テント」はどうだという案。
ふむふむ、悪くない。
第四話「旗揚げ『モダンスイマー』」蓬莱竜太